scene33より
【2018 43号】アクタージュ scene34.演技指導
本番まであと30日。劇団天球御一行様は屋形船で御宴会~ってのが前回。
屋形船から見る夜景はまるで銀河鉄道の車窓から見る星の海。それは死者にはもう手の届かない光。「死の景色」だったんだよね。
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宴がすすんで団員のみなさんはそれぞれに風景を楽しんだりしております。おや巌さんをほったらかしですよ。老いぼれひとり手酌酒状態。
老いぼれってあんまり良い言い方じゃないだろ!
でもさすが、画になってらっしゃいますよ。
そこでお酒を取り上げたのは阿良也。タバコも取り上げちゃったし続けたセリフもなんかぶっきらぼうというかぞんざいというか。あんたって。
言葉づかいや態度はこんななのに、阿良也が巌さんの体を気づかってるのがわかるんだよね。親子ではないけどそれに近いみたいな。
呪術廻戦の順平くんとそのお母さんの会話も思い出したりしたからかなあ?
巌さんにお説教っぽく言いながら、自分はお酒を一口飲んで撃沈w
阿良也よ、なんのつもりで飲んだw
ボクら以前の感想あれこれで「お酒の席での阿良也節って面白そうだね」みたいなことを言ってた時があるんだけどこんなじゃダメだねw
酒で潰れたらもう起きない阿良也にイタズラする夜凪さん。セクハラ、バカは悪口だけどじょばんには違うだろとw
不満の意は伝わってます。
でも膝枕されてる阿良也、正直うらやましいなw
巌さんの演技指導。それは「死」を知ること。
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今回、扉絵は轡を着けた阿良也。
怪物と呼ばれる俳優。うちに潜む獣の本性…って感じかな。
いや普段からあらわだから怪物って言われてんでしょw
しかしオシャレでカッコいい一枚。やっぱ色気なんだろかねぇ。
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屋形船のデッキでは前回に引き続きアキラが酔っぱらいにからまれております。
亀太郎さん、お酒のせいか愚痴っぽいようですよ?
お酒のせいにもできないこのご時世…。
じゃなくて役者を仕事にするってのも色々と事情が大変みたいだね。まあ、たしかにテレビも映画も美男美女ってイメージはあるかなあ。
でもさ、ベテランの役者さんを挙げてみるっていうとやっぱり演技力、実力があるからじゃない?
いやベテラン役者さんはイケメンじゃないっていうんじゃなくてねw
まあアキラにからむのに自分の不満が出ちゃった感じなだけかな。
アキラだってアキラなりに悩んだり苦しんだりしてるんだよね。子役のころからの芸能活動してきての重圧だったり、自分の才能を思い知らされたり。本人の言うとおり恵まれてるって境遇ではないってのは後の回で語られます。
そんなアキラ、自分にとっては劇団天球で活躍してる亀太郎くんや七生さんのほうが羨ましいと告白。
実力主義の巌さん率いる劇団で阿良也と一緒に芝居できる環境。たしかにアキラにとっては望ましいだろね。
アキラのそこのとこは勘違いだと亀太郎くんは指摘。アキラだって認められてキャストとして選ばれたんだろとのこと。
星アリサ社長に対する「罪滅ぼし」のセリフだったり、前回のアドバイスのシーンだったり「認められた」って感じではなかったみたいだったけど…。
でも巌さんと付き合いの長い劇団員としての視点からすると「巌さんは政治で出演者なんて決めない」。
政治ってのはアキラと景ちゃんの熱愛疑惑の火消しのことでだよね。
政治じゃないとすると、巌さんの「罪滅ぼし」っていうのは、過去に自分のせいでアリサ社長が役者として壊れたっていう因果がアキラへの報いになってしまっていることへの「罪滅ぼし」だったことになるのかな。
アキラは役者としてまだまだ伸びると見込んでもらってるってことじゃん!おおっ!
演出家と役者の戦い。ひとつの公演を良いものするために対立する思惑が生まれてるけど、全体的に捉えると一体になっているんだよね。
ないものねだり。アキラも亀太郎くんたちとぶっちゃけたやりとりができて結果的には距離を縮めれたんじゃないかな。
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巌裕次郎の秘密の告白。余命3ヶ月から半年。
景ちゃん、驚きでちょっと混乱ぎみかな。
他の誰にもしらせていないことを言い方を変えて繰り返して伝えているね。
スムーズとは言えないやりとりがリアルな場の雰囲気を感じさせる。ことの重大さが読んでいるこっちに増して伝わってくるね。
次々に「どうして」が湧いてくる景ちゃん。
まあ無理もないよね。
カムパネルラには自分が死んだと自覚がある。それがカムパネルラ役の景ちゃんにだけ自分の死を知らせた理由とここではうけとれるけども…?
景ちゃんの役作りには巌さんの死の体感が役にたつ(っていうには言葉がなんだけど)。それはそうだけど…。じゃ秘密にする理由は?ってなるよね。
「ちゃんと皆に言わなくちゃ」ってのは当然の選択肢だと思うよね。残される側にしたら死の受けとめ方を選ばせてほしいものだしね。
でもそうせずに皆には秘密にする理由は。
「俺が演出家で」
「お前が役者だからだ」
屋形船の座敷で向き合う二人。水面の向こうの夜景と相まってまるで銀河鉄道に乗っているカムパネルラとジョバンニのようだね。
文字にしたら噛み合っていないようなやりとり。「何だよ」って言われてる景ちゃんの表情はなんだろ?
すべては舞台が良くなるため。演出家も役者も目的はひとつ。自分が死ぬことをほかのみんなに秘密にしておくのはそのほうが舞台が良くなるから。
それを聞いた景ちゃんの表情。
巌さんの考えを聞いてる一方で、残される側の気持ちもあるもんね。さらには「演技」は彼女にとっては「生きる喜び」だったはず。
これについてはのちほど。
二人は「共犯者」に。
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宴の夜は明けて。みなさん朝まで生屋形船だったようですな。
酔っぱらいも相手にするお仕事だとありがちなのかなあ。
つか、逆に生じゃない屋形船ってなんだよ。
景ちゃんちのチビッ子たちについて聞いた阿良也。そか一回お宅訪問してるもんね。
「…フーン」と間のあるやりとりに妙な違和感が。
景ちゃんには巌さんの秘密、つまり「嘘」があるんだもんね。でも会話には嘘はない。
阿良也は「嘘」で臭いを感じるヤツなんだけども…?
みんなに背を向けた景ちゃんには、巌さんの秘密を聞いたときの表情が。
阿良也にも見抜けない嘘のつきかたが出来ちゃってるってことかな?
巌さんに迫る死の影響が登場人物たちにさらなる交錯を生んでいて…つづく。
巌さんに迫る死の影響が登場人物たちにさらなる交錯を生んでいて…つづく。
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巌さんと阿良也の親子のような関係はこの回あたりからだんだん描かれていってたのかな。さりげない感じだけどちゃんと物語の中で積み重ねてるよね。
酒、タバコを取り上げる様子で呪術廻戦の順平くんちの親子も思い出したからちょっと貼っとこうかな。
タバコを悪く言いたいんじゃなくてお父さんお母さんが大切だから体を心配してるってシーンだよね。
とはいえタバコやお酒も煙管とか瓢箪みたいにその時代をうつす小道具って感じになるんだろうかねえ。
とはいえタバコやお酒も煙管とか瓢箪みたいにその時代をうつす小道具って感じになるんだろうかねえ。
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巌さんは「演出家」で景ちゃんは「役者だから」と言われた景ちゃんの表情の話ですが。
景ちゃんの役者としての上達の過程だけど、映画撮影を終えてからの演ずることの「生きる希望」があって、千世子さんに「自分の中にもカムパネルラはいる」と気づかされて、で、「感情表現」と「役作り」の課題がクリアできてたんだよね。
この途中で出てきた「死んだことがないからわからない」って部分はまだ残ってた。
余命が限られた巌さんから「死」について教えてもらったら…答えを教えてもらったと思えば「カムパネルラ」像としては完成するっぽいけども?
景ちゃんの役者としてのレベルアップの過程からすると、それって逆というか、ベクトルが反対というかなんだよね。
土台からして違うものを取り込んでいかなきゃならない状況。で、本人はもちろん読んでるこっちも「どうなっちゃうの?」って思うんだよね。
この回で「死」っていう答えを教えてもらうことで更に不安定な状況になってるんだね。更にさらにはみんなに秘密にする、「嘘をつく」ってのが演ずることについてはマイナスになるはずだったよね。
景ちゃんの表情の話は後の回、後々の回でその表情の意味が明かされるから言わないでおいたほうがいいのかな…。
「わかったけどわからない顔」って言ったらいいのか…。
出たよ便利な言いまわしw
ズルい使い方するんじゃないよ。
景ちゃんの表情を含め、いろんな疑問は布石になっててあとで回収されてるんだよね。
今回、最後のコマで景ちゃんが巌さんの意図を唐突に言った感じがあるのも実はそのうちのひとつというね。
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そうすると今度はアキラはさ…って話になるよね。
景ちゃんサイドとアキラサイドは流れが対照的。ふたりとも異物として劇団に混ぜられてるけど扱いは月とスッポンみたいな。
アキラはフルチンで演技しろって言われてるからスッポンポンだよね!
(…チッ)
二人の比較で両者ともが際立つ展開になるところがほんと面白いとこだと思うなあ。