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【2018 44号】アクタージュ scene35.秘密

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44号センターカラーです。2号連続の第一弾!チャイナドレスとお団子ヘアースタイルの女優のふたり。定番で鉄板。やはりいいもんですなあデヘヘ。

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お二人ともよくお似合いです。
滲ませ感のある色塗りはアクタージュのカラー絵としては珍しいかな?好きですこういう塗り。


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屋形船で催された劇団天球の宴。二人きりの対面、巌さんは残り数ヶ月の余命であることを景ちゃんだけにうちあける。ってのが前回です。

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劇団のみんなは巌さんを引退させまいとしてるんだけど、そんなみんなにこのことは秘密。

ふたりは「共犯者」に。これは舞台への演出のためってことなんだけども…。


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今回は稽古の風景から。劇団のみんなが見ているなかで稽古してる主演のふたり。

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阿良也の椅子に座る姿勢がすでに演技のうちなんだよねコレ。

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景ちゃんの台詞はもちろん台本に書いてあることなんだけど、自分の中の疑問とシンクロしてる部分があるからか、台詞をまちがっちゃってるってところだね。

劇中のセリフを言い間違わせるってことで景ちゃんの疑問をうかがわせてるんじゃないかな。逆にこの部分の答えが巌さんの意図、いわば死者の価値観にも通じてたみたいだね。

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七生さんたちも景ちゃんの様子をちょっと心配してますよ。

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比較することで阿良也の演技が精度を上げてるのが強調されてるね。

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本人に自覚がないのがまわりには丸わかり。重症って言われちゃいました。

巌さんが何かしたんじゃないのか?って阿良也さん苛立ちもあらわですが。
やっぱ芝居のスイッチのオンとオフで別人みたい。

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前半数ページ、阿良也が芝居をしてる様子やダメ出ししてる表情で全然違うもんね。演技力を画が伝えてるんだよね。


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稽古のあと景ちゃんと巌さんはマンツーマンで演技指導。といっても巌さんの死の体感を伝えての役作りは劇団のみんなとの稽古とは雰囲気が違うね。
まあ巌さんも言ってるけど「対話」です。

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稽古に集中できていないこともそうだけど、秘密…「嘘の共犯者」なことで辛いんだよね景ちゃん。
稽古場のギスギスした雰囲気が自分のせいかもと悩んでる。阿良也たちと巌さんの間の立場で板挟み。「夜凪のせいじゃないよ」って言われてたけど、そこも逆によけい辛いかも。



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稽古のあと。劇場の外で劇団のみんなが待ちかまえてましたよ。

「読み合わせでも何でも付き合ってやる」ってせっかく言ってもらったのに…あらら。

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ほかのみんなは「巌さんと芝居を続けるために」と意気込んでるからね。秘密がある景ちゃんにとってはつらいですよそりゃ。


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場面変わってスタジオ大黒天の晩餐です。今晩の献立もカレーでございます。ふたごちゃんたちもいるからやっぱり甘口具だくさんかな。

テレビからは「銀河鉄道の夜」の話題が。番組はさりげにアキラ熱愛イジリしてます。
…油断もすきもないなw

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自分から「事務所でごはん食べたい」って言っといてうわのそらな景ちゃん。黒山監督はなにか察した様子。

つってTシャツの柄が気になりすぎるよ!w


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夜もふけてスタジオの屋上。景ちゃん寝れずに一人たそがれております。

ちなみにこの場合の「たそがれる」は間違った使いみちだそうですけども。

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そこに現れた黒山監督。なんやかやで周りの人物の本質を突いたりしてる人。今回もまた裏の事情を掴んでたんだね。いやーズルいw。

景ちゃんのリアクション。やはり嘘をついてることがいろいろ辛かったんだよね。

藁をもすがる思いなんて言うけど、黒山監督はこれで丸太につかまるくらいに頼れたりしそうなんだけでも…。

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「知らん」…?おい丸太ぁー!
ヤロウ、ヒゲのやつ呼ばわりで相応!

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まあまあ。このそっけない返事、巌さんは言ったことを変えないからって理由だからみたいよ。

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景ちゃんが悩んじゃってるのは自分のお母さんのことを思い出しちゃうからってのもあるんだね。

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お母さんが亡くなって景ちゃんいろいろ苦労したもんね。でもやっぱりその前に死別するのってあたりまえに誰でも悲しいものよ。

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そんな景ちゃんを見てかどうか、「銀河鉄道の夜」について講釈をはじめた黒山監督。
宮沢賢治が作品の中に残した疑問についてですよ。

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「ほんとうの幸(さいわい)ってなんだろう」

カムパネルラはセリフで
「ぼくわからない」と言ってるね。

「けれども誰だってほんとうにいいことをしたらいちばん幸なんだねえ」

友達を救うために溺れてしまったことを
「おっかさんはぼくをゆるして下さると思う」

でもこれを黒山監督は「冗談じゃねえよな」と一蹴。カムパネルラはジョバンニや家族の気持ちはお構い無しと指摘したよ。

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「巌もカムパネルラもエゴイストだよ」
ん…ちょっとひどい言い方のような。ヒゲ節?

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「残された人の気持ち」ってワードには景ちゃんにも共通する部分があって、すると同じ立ち位置に寄り添ってのセリフではあるんだよね。
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「お前たち」にはもちろん景ちゃんも含まれているわけですが→

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巌さんとカムパネルラは似てる。それは
「ほんとうにいいことさえしてりゃ」それが「いちばん幸」で、だから「きっと許してくれると信じている」ってところ。

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こんどは巌さんからの視点だね。で、これは景ちゃんにとって大きなヒントになったよう。屋形船で巌さんがすでに言っていたこととうまくつながったみたい。

「俺の死で舞台が良くなりゃそれでいい」

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→こちらでは景ちゃんがみんなとは別に

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それは「最高の舞台を私達に演じさせること」。
あらためて劇団みんなの目標を確かにしたって感じがするかな。

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新しい視点に気づいたからか、景ちゃんの表情には明るさが。

「ほんとうの幸」を演じる覚悟。しかしそれを理解するまでにまだまだたりないところがあるんじゃ…。


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そのころ巌さんは…こ、これは大変ですよ!

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死にゆく者の幸せ…託された巌の想いの意味を知る時、夜凪のカムパネルラはー…

と柱のアオリをそのまま言って、つづく!


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ヒゲ呼ばわりでじゅうぶんじゃ、とは言ったけど最後まで見たらちゃんとアドバイスになってたような。なんだよズルいよ黒山監督。

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残された側の気持ちは否定されるものではないんだよね。黒山監督とのやりとりは景ちゃんの考えを改めたんじゃなくて、それはそれ、これはこれと整理できたんだろうね。


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いい舞台にする。劇団みんなを導く。

屋形船の回でもすでにこれを言ってて景ちゃんはそこのとこをやっぱりすでにわかってたのかと思ってたんだよね。なんか繰り返しになったような感じもしましたけども?

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黒山監督が「銀河鉄道の夜」の作中のカムパネルラのセリフを引いたことでその後に続く繰り返しのやりとりが印象を変えてきてるところが大事だと思うよ。景ちゃんのリアクションも比べたら違ってるんで、あらためてご覧ください。

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↑こちらは前回。次のは今回ね。

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この違いが意味することはつまり…。

えーと、どういうことだってばよ?

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巌さんの「秘密」の真意への理解。そのヒントを景ちゃんが掴んだってことなんだと思うよ。

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死にゆく者の幸せ。ほんとうにいいこと。
それは最高の舞台をみんなに演じさせることでみんな許してくれる。

…これ、もう答えじゃない?ヒントじゃなくてさ。

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それは巌さんの側にとってのことなんだよね。
次の回の冒頭で景ちゃんは巌さんに「まだ生者のままだぞ」って言われてるの。

さっきの話のとおり、巌さんの想いを理解しながら、残される側の気持ちも持ったままなんだよね。

それでも役者の覚悟で演じようとしてるそれは演出家の「ほんとうの幸」。
自分も導かれながら、劇団を導くことが役作り。

景ちゃんは対極をなす様々な要素をその内に同時に存在させていて…

これってどこかで見覚えがない?

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巌さんが言っていた「カムパネルラ」像か…。

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阿良也の言った役者の醍醐味は
「理解の及ばないものを演じる」
巌さんのアドバイスは
「理解の及ばねえ人間なんて存在しない」
「理解できるのなら必ず演じられる」

「嘘吐きは臭わないんだよ」
「誰にも知られちゃいけない」

「(演じることは)現実を生きるための希望」
「俺の死で舞台が良くなりゃそれでいい」

ちょっと前後するけど
「あんなに綺麗な人にどうなればいいか…」
「初めから君は私のカムパネルラじゃん」


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ストーリーの上で景ちゃんはカムパネルラのように対極の要素を積み重ねて来てる。
でもそのはずなのに読みなおすほどよくわからなくなってる印象もない?

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えーと、「つまりはよくわかんないんだ」ってことか。

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そうなんだよね。

でも、「わからないこと」が「答え」。
それこそがカムパネルラなんじゃないのかな…?w

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終わりのないのが終わり

それがゴールド・E・レクイエム…!
みたいな?

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違います。